「実質2,000円の負担で税金が安くなって特産品がもらえる」という、ふるさと納税。実際にやってみたことはなくても、どなたも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし、制度が創設されたそもそもの趣旨はいったい何だったのでしょうか?

返礼品の価格高騰を受け、総務省から通達が出されたことなどを契機に、受け入れたお金の使い道や返礼品に工夫がこらされるようになってきました。

すでにいろいろなサイトで紹介されてはおりますが、改めて、ふるさと納税について取り上げてみたいと思います。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。

地域の特産品などの返礼品が注目されがちですが、もともとは、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設されたものです。

「納税」という言葉がついてはいますが、実際には都道府県・市区町村への「寄附」となります。

したがって、所得税及び住民税の基本的な寄附金控除(所得から寄附額が差し引かれる制度)が適用されるとともに、ふるさと納税として住民税の特例的な控除を受けることができます。

ふるさと納税の設例

東京都にお住まいの方が広島県に10,000円をふるさと納税した場合を例とします(所得税の税率は20%とし復興特別所得税は考慮しない)。

  • 所得税の減税額:(10,000円-2,000円)×所得税率(20%)=1,600円 …(A)
  • 住民税の減税額(基本分):(10,000円-2,000円)×住民税率(10%)=800円 …(B)
  • 住民税の減税額(特例分):10,000円-2,000円-(A)1,600円-(B)800円=5,600円 …(C)

10,000円ふるさと納税をすると、(A)1,600円+(B)800円+(C)5,600円=8,000円、税金を納める額が少なくなり、残り2,000円は自己負担となります。

ふるさと納税のイメージ

出典:「ふるさと納税ポータルサイト」(総務省)(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html#block02) (平成30年7月25日に利用)

「10,000円ふるさと納税で支払って、8,000円税金が減り、2,000円自己負担ということは、プラマイゼロなのでは?」と思った方、…正解です。

とはいえ、もしふるさと納税制度がなかったら、こうなります。

  • 所得税の減税額:(10,000円-2,000円)×所得税率(20%)=1,600円 …(A)
  • 住民税の減税額(基本分):(10,000円-2,000円)×住民税率(10%)=800円 …(B)

ふるさと納税制度がなく10,000円寄附した場合は、(A)1,600円+(B)800円=2,400円は税金を納める額が少なくなりますが、ふるさと納税ありの場合で減税された(C)5,600円はお住いの自治体に納める必要がありますので、トータルの出費は多くなります。

結局、ふるさと納税のポイントは、

  • ふるさと納税制度がなかった場合と比べて住民税が安くなる
  • 返礼品をもらえてちょっと嬉しい

ということでしょう。

ちなみに、国と地方自治体の立場から見ると、次のようになります。

  • 国 … (A)1,600円の収入減
  • 東京都 … (B)800円+(C)5,600円=6,400円の収入減
  • 広島県 … 10,000円の収入増

東京都にとって、(C)5,600円はふるさと納税がなければ収入になっていたはずのものですので、ふるさと納税による住民税の減収が都市部の自治体で問題視されるわけですね…。

ふるさと納税の限度額

ふるさと納税は「寄附」ですので、ふるさと納税自体に限度額という概念は本来ありません。

しかし、ふるさと納税した金額すべてについて所得税・住民税の優遇を受けようとすると、限度額を考慮する必要が生じます。

所得税、住民税の基本分

所得税と住民税の基本分の上限は、それぞれ次のとおりです。

  • 所得税:総所得金額等の40%
  • 住民税:総所得金額等の30%

いずれも、ふるさと納税以外の寄附金(日本赤十字社、認定NPO法人など)がある場合は、これらも合わせた金額です。

住民税の特例分(ふるさと納税分)

特例分の上限は、住民税所得割額の20%です。

ふるさと納税に限って言えば、この金額が上限を決めるポイントとなります。

(寄附額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)≦住民税の所得割額の20%となればいいわけですので、寄附額を求めるために展開すると、次のようになります。

寄附額=住民税の所得割額の20%÷(90%-所得税の税率)+2,000円

住民税の所得割額

住民税の所得割額は、住民税の納付方法別に、次の書類で確認できます。

特別徴収の方(給与天引きされている方)

「給与所得等に係る特別区民税・都民税特別徴収税額の決定・変更通知書」

特別徴収税額通知書
普通徴収の方(ご自身で銀行窓口や口座振替で納税している方)

「特別区民税・都民税(普通徴収)税額決定納税通知書」

普通徴収税額通知書

所得税の税率

ご自身の源泉徴収票や確定申告書で図の金額を計算または確認したのち、その金額を表に当てはめます。

源泉徴収票(給与所得のみの方)
源泉徴収票
確定申告書
第一表
所得税率の表(平成27年分以降)
課税される所得金額税率
195万円以下
5%
195万円超330万円以下
10%
330万円超695万円以下
20%
695万円超900万円以下
23%
900万円超1,800万円以下
33%
1,800万円超4,000万円以下
40%
4,000万円超
45%

なお、ふるさと納税は、寄附額を所得から差し引くことができる優遇制度ですので、所得から社会保険料控除、生命保険料控除等の各種所得控除を差し引いてもまだ所得があることが前提です。

適用を受けるためには

確定申告

原則として確定申告を行います。

申告の際に、寄附をした自治体が発行する寄附の証明書・受領書、専用振込用紙の払込控(受領書)などを添付する必要があります。

ワンストップ特例

ワンストップ特例は、確定申告の不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。

特例を受けるためには、次の2つの要件があります。

  • ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であること
  • ふるさと納税を行う際に、その都度、ふるさと納税先の自治体に、特例の適用に関する申請書を提出すること

ワンストップ特例の適用を受ける場合は、所得税からの控除(設例の(A))は発生せず、所得税からの控除分も含めて住民税から減額されます。

なお、ワンストップ特例を申請していた場合でも、その後、例えば、不動産を譲渡したり、高額な医療費がかかり医療費控除の適用を受ける等の理由で確定申告を行う場合には、確定申告に含めて申告する必要があります。

まとめ

この夏、各地で起こった災害に胸が痛みます。

ふるさと納税制度を使い、被災地を支援することも可能です。

ふるさと納税を受領した自治体は寄附者に対して受領書を発行します。被災された自治体にとっては、これが事務負担となるのではないかと思っていましたが、提携都市等の別の自治体が代理で事務手続を行い、負担を軽減しているケースもあります。

もちろん返礼品はありませんが、本来の「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」としてふるさと納税を活用することで、少しでも力になれたらと思います。