会社設立までの主な手続をご紹介します。

1.会社の重要事項の決定

商号、事業目的、本店所在地、資本金額、機関設計、事業年度などの、会社にとって基本的な重要事項を決定し、「定款」という規則に定めます。

会社を設立するためには、会社の一定の事項を公に登録する「登記」という手続を行いますが、登記された内容は、一定の手続を踏めば誰でも見ることができます。

上に例示した事項(事業年度を除く。)は、定款に定めるとともに、登記が必要な事項ですので、広く公開されるということを前提に検討する必要があります。

商号

商号とは、会社の名称のことです。会社としてまず認知してもらう「顔」であり、一度決めたらそうそう変更するものではありません。ビジネスをイメージできるような、そして覚えてもらいやすいものがいいですね。

会社にとって、とても重要なものですので、ルールを守って決める必要があります。

商号に関するルールについてはこちらをご参照ください。

事業目的

本業として行う事業だけでなく、将来的にやる予定の事業、やってみたい事業を含めておくこともあります。

ただし、あまりに幅広くなってしまうと、これを見た取引先や金融機関などに「何をやっている会社か?」が伝わらないということになりかねないため、さじ加減は必要です。

本店所在地

本店とは、会社のメインの拠点の住所です。

税務署、都道府県税事務所、市区町村役所、年金事務所などの管轄は、この住所によって決まっています(これを考慮して本店所在地を決めることはないとは思いますが)。

資本金

現在は資本金1円から会社を作ることができます。

しかし、資本金は事業運営のための元手ですので、特に会社を作る当初は、資本金がいくらあるかは重要です。

設立したばかりの会社で銀行から借入をする(創業融資)場合には、資本金の何倍かが融資金額の目安、とされているケースもあるようです。

資本金も登記され公開される情報です。例えば「資本金1円」の会社と「資本金100万円」の会社があったとき、どちらと取引したいと思うでしょうか?

100万円ないといけないということでは決してありませんし、今は1円から作れるのだからまったく問題ない!という方もいらっしゃるでしょう。ただ、外部からも見られるものだ、ということは意識してもよいのではないかと思います。

資本金額により異なる制度

資本金額により、税金の計算が変わる場合があります。

消費税資本金1,000万円以上

通常、会社設立から2年間は消費税を納める義務はありませんが、資本金1,000万円以上で会社を作った場合、作った年から消費税を納める義務があります。

住民税(均等割)資本金1,000万円超

会社も都道府県・市区町村に住民税を納めますが、住民税の中には「均等割」という税金があります。その都道府県・市区町村に会社がある、という事実に基づき税金を納める義務が生じるもので(赤字でも納めます)、資本金額と従業員数の組み合わせで税額が段階的に変わります。

資本金1,000万円を超えると、最も安い段階を越え2番目の段階の税額となります。

事業税資本金1億円超

都道府県・市区町村に納める税金の中に、事業税という税金があります。

事業税は、通常、黒字になった場合に、もうけの金額に一定の税率を掛けて税額を計算します。しかし、資本金1億円超の会社の場合は、もうけの金額に掛ける税率が少し低くなるかわりに、「外形標準課税」という赤字でも納める義務のある税金が課せられます。

機関設計

機関とは、株主総会取締役など、会社としての意思決定をしたり、業務執行の責任を担う組織または人のことです。

会社の種類や規模により、会社に設置しなければならない機関が異なります。

事業年度

会計上、税務上とも1年以内と定められています。

例えば、7月に会社を設立したら、7月~6月の1年間を事業年度とするケースが多いです。ただし、いつ設立しても、1月~12月、4月~3月など、好きな期間を事業年度とすることもできます。その場合、7月に設立であれば、設立した最初の事業年度のみ、7月~12月、7月~3月など、1年に満たない月数となります。

事業年度は変更することができます。この場合、会計上は変更した最初の事業年度を1年6ヶ月以内とすることができますが、税務上は必ず1年以内で年度を区切り、税務申告を行う必要があります。

2.定款の認証

定款の認証とは、公証人が、正当な手続きにより定款が作成されたことを証明することをいいます。

定款の認証は、株式会社の設立にのみ必要な手続であり、本店所在地を管轄する公証役場で手続します。

公証人、公証役場とは?

公証人とは、公証事務(公正証書の作成、認証の付与、確定日付の付与)を行う公務員で、判事や検事出身の方などの中から国により任命されます。

公証役場は公証人が執務する事務所であり、全国に約300カ所あります。

3.登記申請の準備

会社の設立は、法務局に登記することで有効になりますので、法務局に提出する所定の登記申請書を作成します。

登記申請の際に、法務局に会社の印鑑を届出し、申請書には届出した実印を押印しますので、会社の印鑑を作成しておきます。

4.資本金の払い込み

1.で資本金額として決定した金額を、個人名義の銀行口座に預け入れます。

預け入れは、定款認証後、登記申請前に行います。預け入れをした通帳のコピーを3.の申請書に添付します。

5.登記申請

法務局に登記申請書を提出します。登記申請日=会社設立日となります。不備がなければ、申請から1週間~10日で完了します。

6.行政機関への届出

税務署、都道府県税事務所、市区町村、年金事務所等へ、会社設立の届出を行います。

今後の設立手続

国の成長戦略である「未来投資戦略2018」が2018年6月15日に閣議決定されました。戦略の一つに「デジタルガバメントの実現」として、各種行政手続のオンライン・ワンストップ化が掲げられています。

法人設立手続については、次のような改革に取り組むこととされています。

  • 定款認証及び設立登記を含めた全手続のワンストップ化を2020年度中に実現
  • オンラインによる法人設立登記の24時間以内の処理を2019年度中に実現
  • 株式会社の設立手続に関し、一定の条件の下、2018年度中にテレビ電話等による定款認証を可能とし、2020年度中に、定款認証及び設立登記のオンライン同時申請を対象に、24時間以内に設立登記が完了する取組を全国で実施
  • 法人設立登記における印鑑届出の任意化の2020年度中の実現

これらが実現すると、会社の設立手続はずいぶん簡単でスピーディーになりますね。設立手続の制度が変わった場合には、随時更新していきます。